私はこの夏、母と姉と旅行に行った。場所はアメリカのフロリダ州。私はアメリカの本土にはあまり行ったことがなかったので今年の春から楽しみにしていた旅行だった。予定としては順に、2日間USA、2日間ショッピング、2日間ディズニー、1日休憩、最終日ケネディ宇宙センターというハードながらも夢のような計画だった。
空港に行くまでの車内は宿題や時差ボケなどの不安なことは、女子会のような賑やかさにかき消されていた。
しかし事が起こったのはそれから約一日後だ。私達は東京からフロリダまでの約17時間の飛行機に乗っていた。フロリダに到着する4時間前、もう少しでやっと腰が伸ばせると思っていた私は信じられないアナウンスを聞いて、呆然とした。アナウンスでは「機内に急病人が出た。ただちに近くの空港へ緊急着陸する。」とのことだった。キャビンアテンダントの方々が機内を小走りで移動する。とても怖かった。自分と同じ場所にいる誰かがそんな目にあっていることも、自分が予定もしていなかった空港へ降りてちゃんとフロリダまでたどりつけるのか分からないということも。結局、私達の乗った飛行機は近くの空港に着陸をし、2時間後にフロリダの空港へ向けて再び離陸をした。とうとう私達はフロリダから乗り換えの飛行機には間に合わず、ホテルに着いたのは翌日の夕方だった。
半日ほど時間をロスしてしまった私達は、それを取り戻してやろうという執念により、朝早くからUSAに向かい、喉が枯れるまで、体が動かなくなるまで疲れてホテルに帰ってきた。
そして夕ご飯をまともに食べる余力もなく、みんな死んだように眠った。
しかしそんな予定を続けること3日目、私の姉がケホケホとおかしな咳をし始めた。次第に私にもその症状はうつり、とうとう3人中2人がダウンしてしまった。私が思うに、あれは疲れのたまりすぎによる風邪だったと思う。何せフロリダの夏は日本のように高温多湿だった。
このようにディズニー2日目から私と姉は布団の中で最終日の宇宙センターに備えてこもった。悪いことばかりではなかった。母が看病してくれるので私達は小さい頃に戻ったみたいで嬉しかった。私達は何とか食べものを得ようとUber を活用した。Uber では韓国料理や日本食、中華なども頼め、すごく充実していた。今回の経験でUber がどれほど便利か身にしみて分かった。
しかし、そんな努力も虚しく最終日の朝は姉も私も動ける体ではなかった。どうにか体を奮い立たせて、車に乗り、センターに到着したが、少しだけ館内を周りお土産を買うのが限界だった。私と姉はすごく母に対して申し訳なかった。なぜかというと、母は子供の頃から、天体が大好きで将来はNASAで働くのが夢だったという話を聞いていたからだ。実際にこの旅行を何よりも楽しみにしていたのは母だった。自分の夢だった場所よりも私達を優先してくれた母はとても強い人だと思った。そんな母の背中を見て、次は私が母をここに連れてこようと心に決めた。
散々な旅行ではあったが問題解決能力を高め、新たな目標を見つけることもできた良い旅だったと思う。
(高等部1年女子)