これまで散々先生に尻を叩かれてきたにも関わらず、私は今年度の夏休みの作文など、書くべき文章がずっと書けずにいた。私は文章を書くことで自分の考えがまとまっていく感覚が好きで、作文というものは得意なはずだった。けれど今学期学校へ帰ってくることに気が進まなかった私は、どうしても文章が書けずにいた。
なぜ帰ってきたくなかったのか、自分でもよく分からない。感染対策のための様々な縛りが無くなり、もとの学校の姿に戻っていくことへの緊張もあったのだと思う。私はどうしようもないほど、学校に対して不安を感じていた。
いざ学校に帰った最初の一週間、ずっと考えていたのはあと何日で日本に帰れるかということだった。残り90日、80日…。三ヶ月という日数は私に重くのしかかっていた。
けれどある時気がついた。この19人のクラスで過ごせるのはもうそこまで長くはないのだと。
三年前、一年生の春に入学してきた時のことは昨日のことのように覚えている。あの頃より6人も増え、絶えず賑やかなこのクラス。賑やかさこそ三年経っても変わらないけれど、やっぱりみんな一人一人変わっていて、成長しているのがはっきりと分かる。今日も聞こえるこの笑い声が、多分私は大好きなのだろう。私もこのクラスの一員なのか、時々不安になる。だけど結局、どれだけ嫌いになろうと私は立教に帰ってくるようだ。
寒い夜や朝七時の鐘の音、何か埋まらない寂しさも、長い目で見ればきっとこれも思い出になる。みんなで聴くオルガンの音色、土曜日の靴磨き。大好きな行事や伝統はまだまだ沢山ある。感染拡大の影響で、帰ってくることが出来なかった二年生の一学期と三学期。どれだけ学校が恋しくて、どれだけ日本で寂しい思いをしたかを思い返すと、今あるこの状況がどれほど幸運なものか思い知らされる。コロナに奪われた本来の立教の姿を取り戻した時、私は心の底からこの学校が好きだと実感できた。
これからもまた、何かに不安を感じたり立教が嫌になることはあると思う。それでも私は、残り少ない中学3年生としての時間を大切にしていきたいと思う。
(中学部3年生 女子)